
猫背は見た目が良くないので、
”できれば”正しい姿勢にしたい
といながら・・・
「猫背の方が楽で」という人がいます。
逆に肩こりがひどい人から
「姿勢が悪いからだと思うんだよね」
という自己分析もききます。
「猫背はよくないもの」
「本当は正しい姿勢にしないといけない」
と誰もが考えていても
実際なかなか実行できてる人はいませんよね。
その理由としては、
「正しい姿勢をとるのが面倒」
「正しい姿勢をとるときつい」
というものが多いです。
なぜなのでしょうか?
実は人は今の状態を快適に感じるようになっていて
変化をいきなり受け入れることに
大きな抵抗があるからです。
よって猫背を直そうとするなら
じっくりとりくむ必要があります。
以下で詳しく書きます。
人は今の状況に適応して生きてきた
先ほどの猫背のように、
本当は良いものではないのに、
それを楽・快適に感じるのは、
人には適応力とか順応力があるからです。
例えば、下着を着替える時を思い出してください。
最初に地肌に下着が触れた時、
私たちはその肌さわりをはっきり感じていますね。
ですが、数分もすれば感じなくなってしまいます。
また、「住めば都」という言葉もあるように
たとえ引っ越しだ際に初めそこの環境になじまなくても
だんだんと慣れていく言葉が昔からあります。
さらに話を飛躍すると
「ダーウィンの進化論」
にも関連があるかもしれませんね。
進化論をざっくりと説明すると、
「時代を経て生き残る生物とは強い生物ではなく、
環境の変化に適応(して進化)できる生物だ」
というものです。
適応した結果錯覚も起きてくる
そんな風に適応できる力は
私たちが生きていくうえで必要な能力です。
ただ適応した結果、客観的にみると
錯覚ともいえるような状態になることもあります。
例えば、2018年の夏の酷暑です。
連日40度越えの時期がありましたよね。
その暑さに慣れてしまうと、
本来充分暑い筈の30度でも
楽に感じられてしまいます。
これは錯覚なので本当は暑いです。
よって楽に感じられるからと
暑さ対策を油断すると熱中症になるリスクがあります。
猫背を楽に感じるのも同様に錯覚です。
なので自分の感覚では楽に感じていても
肩や腰の筋肉には猫背で過度の負担がかかり続けています。
その結果、疲労が蓄積した筋肉がガチガチに固くなり、
こりや痛みが生じてくるのです。
錯覚を起こしている感覚は位置覚と運動覚
そういう錯覚を起こしている感覚を
”位置覚”と”運動覚”といいます。
位置覚とは、今の身体の姿勢(位置)を感じる感覚です。
例えば、顔が前に出ているとか背中が丸いとか
重心が爪先よりになっているとかを感じる力です。
これが猫背で錯覚を起こしていると、
正しい姿勢をとった時に、
逆に身体が後ろに倒れているように感じたり、
違和感を感じます。
運動覚とは身体を動かす時の感覚です。
例えば、ボールを投げるような大きな動作で、
大きく腕をふって正しいフォームをとる時の感覚です。
これが前肩型猫背などで肩が巻き込んでいると
正しいフォームがわからなくなって手投げになり、
野球肘のようなケガの原因となります。
また、疲労が蓄積した筋肉はガチガチに固いので
いきなり正しい姿勢で背すじを伸ばそうとしても伸びなかったり
無理やり伸ばせたとしても違和感やきつさを感じるのです。
感覚を直すにはストレッチと鏡を使う
猫背を直す方法には姿勢矯正ベルトや筋トレ、
ストレッチ、猫背矯正などいろいろありますね。
その中でもストレッチがおススメです。
というのも姿勢矯正ベルトを猫背の人がいきなりつけると
猫背で固まった筋肉が強制的にのばされるので苦痛を感じたり、
やはり猫背を楽に感じているので正しい姿勢に違和感を感じます。
また、筋トレは力を入れることに意識が集中してしまい、
結局位置覚も運動覚も正しい姿勢が意識がそれやすいです。
その点、ストレッチならゆっくり静かに筋肉を伸ばすので
位置覚と運動覚を確認しながら正しい姿勢へ修整していけます。
整体院・整骨院で猫背矯正を受けるのも間違いないですが、
コストもかかるので、ある程度自分でストレッチをやって
あまり効果が感じられない時にご相談してもよいかもしれません。
ストレッチは余計な力を抜いて行おう!
猫背を直す時のストレッチは、
ジーっと同じ姿勢で筋肉を伸ばす
「静的ストレッチ」です。
自分でストレッチをやる場合の
「3つのポイント」をご紹介しますね。
余計な力を入れない
例えば、前屈動作をする時、
少しでも手を伸ばそうと力む人がいます。
ですが、力が入ると筋肉は収縮するので伸びが悪くなります。
よって、余計な力は抜いた方が効果があります。
息を吐きながら伸ばす
先ほどの前屈動作で力む時にありがちですが
息を止めて行う人がいます。
頑張ってるからなのですが、
深呼吸で息を吐きながらストレッチした方が
筋肉は伸びやすいです。
伸ばしたところで30秒キープ
余計な力を抜いて、深呼吸で息を吐きながら
筋肉が伸びた所で”30秒”キープしましょう。
筋肉が緩むためにもある程度の時間が必要だからです。
また、今伸びている以上に無理に伸ばす必要はありません。
伸びた所で30秒キープを繰り返していると、
結果的にだんだん伸びてきます。
結果を焦らずに毎日少しずつやることが成功の秘訣です!
猫背をなおすストレッチ
では、実際に猫背を直すストレッチをご紹介します。
猫背というと丸くなった背中や前に出た首だけを
ストレッチする方法を考えるかもしれません。
ですが、実は猫背は身体の土台からゆがんでいることが多く、
そこからストレッチで直していく必要があります。
その土台とは骨盤です!
骨盤周りのストレッチは太ももの前後の筋肉を伸ばします。
太ももの前を伸ばすストレッチ
1、壁などのそばに、両足を肩幅に開いて立ちます。
2、右膝を曲げ、右手で右足の甲をつかみます
3、両膝の間が離れないようにし、太ももの前が伸びて気持ちが良い所で10秒キープ
(ふらつくようなら、壁に左手をついてください)
4、10秒経ったら、左足も同じようにおこなってください
このストレッチでは両ひざが離さず、
身体をまっすぐ立てたままやると効果的です。
太ももの後ろを伸ばすストレッチ
1、椅子に座って右足を伸ばし、かかとをつきます
2、両手を右膝の上にあて、右爪先を自分の方に向けます
3、背中を伸ばし、お腹をつきだすように身体を前傾します
4、太ももの後ろが伸びて気持ちが良い所で10秒キープ
5、10秒経ったら、左足も同じように行てください
このストレッチでは背中が丸くなると効果がありません。
そのため背中を伸ばし、
お腹を突き出すようにすると効果があります。
土台である骨盤回りのストレッチを終えたら、
いよいよ上半身のストレッチです。
上半身をまっすぐにするストレッチ
1、足を肩幅に開いて立ちます
2、ゆっくり両手をあげてバンザイをしていきます
3、手がいっぱいまで上がったら胸も斜め上に突き上げるようにします
4、合わせて、なるべく顎が上がらないようにしながら首を後ろに引きます
5、手、胸、首をいっぱいまで伸ばしたところで10秒キープ
6、10秒経ったらその姿勢のまま、身体の力をぬいて手を下ろします
バンザイで身体伸びている間は
無理に力を入れて胸をはらないよう、
注意してください。
あくまで全体的にのびのびと、
気持ちよく行う事が大事です。
ストレッチの後は、鏡でご自分の姿勢が骨盤からまっすぐになっているかチェックし、
今度は”良い姿勢のくせ”を身体につけるようにしていきましょう。
このストレッチは全部やっても1分程度ですので
ぜひ毎日継続してください。
ストレッチは週1回1時間やるよりも
毎日1分継続した方が効果があります!
続けているうちに感覚も修正されてくるので
あせらずのびのび続けてください。
まとめ
「猫背が楽」
「正しい姿勢がきつい」
というのは、身体が猫背に
順応してしまった結果の錯覚です。
順応することは生きるために必要な力ですが、
その結果身体の不調となるのは良くありません。
なので、必要なストレッチと
鏡を使って修整していきましょう!