人は疲れると自然と猫背になります。
しかし、逆に猫背だから疲れやすいということもあるのです。
それについては以前、下記の記事でも触れたことがあります。
【9割近くが悩んでいる猫背!姿勢を良くする方法とは?】
この記事中のデータは、もともとは数年前にあるスポーツ用品を取り扱っている会社が、
インターネットで20~59歳を対象に行った
アンケート調査の結果を参考にさせていただいたものです。
これにより、猫背でない人に比べて猫背の人が疲れやすいことがわかります。
猫背でつらいなら、姿勢をのばせばそれでよいようなものですが、
実は猫背の人にとっては良い姿勢をとることもつらいのです。
その理由と改善方法について改めて書きます。
猫背で疲れやすくなる理由
一昔前は、猫背というのは、背中が丸いことを言いました。
ですが、今は「首猫背」「腰猫背」「隠れ猫背」などなど、
さまざまな猫背を意味する言葉がいわれています。
さらに「スマホ首」や「スマホ肩」も広い意味では猫背の一種です。
もはやなんでもありな感じですが、猫背の定義を整理しますと、
- 首(頸椎)の過前弯・後弯(ストレートネックなど含む)
- 肩が前に出ている(巻き肩)
- 背中(背骨)のカーブが大きい
- 骨盤がゆがんでいる(普通よりも前や後ろに傾いている)
この4つです。
こういう猫背姿勢になると筋肉や内臓に過度の負担がかかるため、
日々の疲労が蓄積してしまって疲れやすくなります。
その時、それぞれの体の負担について以下で説明していきます。
1、筋肉への負担・コリや痛み
猫背だと、骨格が正常な位置からは外れているため、
骨格を支え体を動かす筋肉には大きな負担がかかるようになります。
例えば、整骨院や整体院では、
「頭の重さはボーリングの球くらいある」
「頭の重さは5~6kgある」
と言っていますが、それだけ重いものが
常に体の上にあるワケです。
首の骨や背骨が真っ直ぐなら骨格でその重さを支えられるので、
首や肩の筋肉にはそれほど負担はかかりません。
ですが、顔が前にでたりしていると
それを支えるために頭の重さの3倍~5倍の負担が身体にかかると言われているのです。
そうやって負担がかかった筋肉は疲労し、ガチガチに固くなるため
慢性的な首・肩こり、腰痛となります。
2、骨格への負担・ヘルニアや神経への負担
背骨のカーブが大きくなると、背骨(椎骨といいます)の一つ一つの間にある軟骨(椎間板)にも
大きな負担がかかって、外に推しだされるような状態になります。
これを「椎間板ヘルニア」といいます。
本格的に推しだされた軟骨が横を通る神経に触れるとしびれや痛みを感じます。
また固くなった筋肉が神経を締め付けても、しびれや痛みが出ることもあります。
シビレがひどくなると神経痛のような症状となって知覚が鈍くなったり、
握力が低下するなど日常生活に差し支えます。
3、自律神経への影響
顔(頭)が前に出ると自然と顎も前に出てバランスをとります。
そうすると後頭部と首の後ろ側がつまってきます。
後頭部には自律神経の中枢である間脳という部分がありますが、
後頭部と首の間がつまってくると影響を受けて、自律神経失調症となり、
不眠や動悸、頭痛、うつ症状がおきることがあります。
4、内臓への負担・酸欠や胃下垂も
猫背で背中が丸い状態では胸もつぶれています。
そうすると胸にある肺が大きく広がれないために
呼吸が浅く短くなるので新鮮な酸素をあまりとりこめません。
その結果、知らず知らずのうちに身体が酸欠となり、
疲労に拍車をかけることになります。
また、猫背で胸がつぶされるとその下のお腹にも圧力が伝わります。
上から押された内臓は働きも悪くなる上に、
胃下垂のように内臓そのものの位置も下がることがあります。
胃下垂で消化不良のため食べた物もキチンと栄養とはなりません。
そのために、疲れも回復しにくくなります。
特になにかしなくても猫背でいるだけで、
体にはこんなにも負担がかかっているのです。
これでは疲れやすいのも当然です!
猫背がなおらない2つの理由と3つの改善方法
猫背の人が良い姿勢になれない2つの理由
疲れをとりやすくするためには、
猫背をなおすことが最優先なわけですが、
猫背の人にとっては姿勢を良くすることが苦痛なのです。
その理由は、2つあります。
1、体が猫背の形で固まっている
長期間猫背でいる人の体は、骨格や筋肉が猫背の形でガチガチに固まっています。
「猫背のクセがついている」といういい方もできますね。
ガチガチに固まっている所を無理に伸ばしたりすればつらいのは当然です。
2、猫背に慣れてしまっているので、良い姿勢には違和感がある
自分の感覚(位置覚といいます)も、
猫背に慣れて馴染んでしまっているために、
急に良い姿勢をとると違和感を感じてしまいます。
なので、ガチガチの猫背で固まった「身体」と「感覚」の両面で改善していきましょう!
猫背をなおす3つの簡単ストレッチ
まずガチガチに固まった骨格や筋肉をゆるめましょう、
感覚をなおすのはその次です。
ちなみに、普通、猫背というと背中や首・肩のような上半身にばかり目が行くと思います。
ですが、本当は身体の中心である骨盤が前や後ろに傾いていて、
その結果として背中を丸めたりしてバランスを取ろうしていることが多いです。
なので、ストレッチも骨盤まわりからやっていきます。
太ももの前を伸ばすストレッチ
1、壁などのそばに、両足を肩幅に開いて立ちます。
2、右膝を曲げ、右手で右足の甲をつかみます
3、両膝が離れないようにし、太ももの前が伸びて気持ちが良い所で10秒キープ
(ふらつくようなら、壁に左手をついてください)
4、10秒経ったら、左足も同じようにおこないます
太ももの後ろを伸ばすストレッチ
1、椅子に浅く腰掛け、右膝を伸ばして踵を床につきます
2、右つま先を自分の方に向け、右ひざの上に両手をあてます
3、背中を反らしてお腹を突き出すようにして身体を前傾させ、右太ももの後ろ側を伸ばします
4、太ももの後ろ側が伸びて気持ちが良い所で10秒キープ
5、10秒経ったら反対側も同様にします。
骨盤は長時間座っているときの姿勢などで、
お尻が前にすべった後傾や、
逆に反り腰でお尻をあげた前傾になっていることが多いです。
それらの状態では、太ももの前や後ろの筋肉が短縮して固まり、
骨盤が傾いたまま固定させているので、
こうしたストレッチで骨盤に動きをだしていくわけです。
背中や肩をのびのびと伸ばすストレッチ
1、足を肩幅に開き、肩の力をぬいて立ちます
2、万歳をする時のようにゆっくり両腕を頭の横まで挙げてください
3、同時に腕の動きに合わせるように胸をそらせ、顔も斜め45度上を見るようにします。
4、背中から肩にかけていっぱいまで反らせたところで10秒キープ
5、10秒経ったら、脱力して横から「ストン」と腕をおろします
6、顔は後ろに引いたまま、顎を引いて前を向くようにします
(顎を引く時は、頭のてっぺんを上からひもなどで吊り上げられてるイメージでしてください。)
身体に良い姿勢のクセをつける
これら3つのストレッチで猫背で固まった身体を伸ばしたら、
次は良い姿勢を身体で記憶するようにします。
やり方は、鏡を使ってマメに自分の姿勢をチェックし、
鏡から離れている時もその姿勢をキープするようにします。
力を入れて首の筋肉を伸ばそうとするかえって固まってしまい、効果がありません。
自分の頭の重さでゆ~っくりと10数えながら1周させるようにしてください。
力をいれて回している時よりも、首が楽になってきますよ!
どのストレッチも、毎日1回継続してやっていただきたいのですが、
デスクワークなどで「疲れたな」という時にも
どんどんやっていただいてかまいません。
それぞれのストレッチでかたまった骨格や筋肉を伸ばしたら、
鏡で良い姿勢をとれていることをマメに”目で”確認し、
その状態を”体で”記憶して感覚を修正するようにしてください。
※あまりに身体がガチガチで伸びない場合は、
お近くの姿勢専門の整体院や整骨院にご相談ください。
まとめ
なかなか抜けない疲労は猫背が原因のこともあります。
猫背の人は疲れやすく、良い姿勢をとる事も苦痛です。
それは、猫背でいると身体に大きな負担がかかり、
長期間猫背でいると体が猫背でかたまってしまうからです。
固まった体は3つのストレッチで伸ばし、
良い姿勢を徐々に体になじませていきましょう。
良い姿勢でいることが普通になると、
疲れやすさも改善するので以前より活動的にもなれます。
きっと日々の生活も楽しくなってきますよ!