
年末年始の大掃除や引っ越しの際には普段持たないような重いもの、
たとえばタンスや机などを移動しようとして、ギックリ腰になることがあります。
このギックリ腰という言葉は昔からある言葉ですが、
実は「正式な医学用語・病名ではない」ってご存知でしたか?
ぎっくり腰は正式には、「急性腰痛」や「腰椎(腰部)捻挫」といいます。
「急性」というくらいですから、いきなり「グキッ」という衝撃と共に、
腰に強烈な痛みを感じて動けなくなってしまう状態です。
(その突然のあまりにも強烈な痛みのために、海外では
「魔女の(見えない)一撃」という呼ばれ方もしているそうです。)
ギックリ腰について先ほど「重いものを移動しようとして起こる」と書きましたが、
実はそれ以外の原因でも起こることがあります。
たとえば、冬の寒い朝に寝床から立ち上がろうとして起きた時や、
洗面・歯みがきで前かがみになった時になることもあります。
つまり、「重いものを持つこと」だけがギックリ腰の原因ではないのです。
実は普段から腰に負担がかかって疲労が蓄積し続け、
なんとかギリギリ耐えていたところに、
なにかしら最後の負担(一撃)が加わっておこっている可能性が高いのです。
そして普段から腰に余分な負担がかかる原因とは猫背のような不良姿勢です。
よく「ギックリ腰はくせになる」というのも、
根本原因である猫背がそのままだからまた腰に負担がかかりつづけ、
再発を繰り返す=「くせになる」ということが真相のようなのです。
猫背がギックリ腰の根本原因になる理由
とはいえ、猫背というと、普通は「背中が丸いだけ」というイメージがあると思います。
「背中が丸いのになんで腰に余分な負担がかかるの?」
と、いうのが普通の感想ですよね?
ですが、実際には猫背というのは、背中の過剰な丸みだけではありません。
姿勢の土台である骨盤がゆがんで前や後ろに傾き、
無意識に体が倒れないようにバランスをとることで背中が丸くなっているのです。
骨盤のすぐ上は腰なので、骨盤のゆがみはそのまま腰の余分な負担となります。
そして負担がかかり続けて疲労した腰が、何かのきっかけで限界を超えた瞬間、
ギックリ腰を発症してしまうわけなのです。
なので、猫背を治すことがギックリ腰の予防になり、再発防止にもなるのです。
以下で、まずはギックリ腰になってしまった場合の改善方法、
その次に原因である猫背の改善方法について書きます。
ギックリ腰の改善方法(対症療法)
対症療法とは、起こってしまった痛みの症状をなおすための治療法で、
根本的な原因をなおす場合は根治療法といいます。
まずは対症療法で、ギックリ腰の痛みを改善しましょう!
ギックリ腰は急性の症状なので、
1、痛みがでてから数日間は絶対安静
2、その後1~2週間経過して痛みが落ち着いたら少しずつ運動
この2段階を踏むのが原則です。
ぎっくり腰になった直後には強烈な痛みのため動けないとは思いますが、
中には仕事などで無理に動こうとして悪化させてしまう人もいます。
絶対にベッド(布団)に横になって安静にしてください!
そして痛みの少ない姿勢と動作をすることも重要です。
安静にする期間は発症直後の数日間ですが、
その間はコルセットで腰を固定して保護する、湿布を患部に貼る、
できれば整骨院で治療をうける、などすると早く良くなります。
そして痛みが落ち着いて動けるようになったら、
腰の様子をみながら少しずつ日常生活で体を動かすようにしてください。
いつまでも動かないと筋力が低下し、かえって腰痛が悪化します。
なお、痛みがおさまっても1~2か月間は再発しないよう、重いものを持たないとか、前かがみになる時は膝をつっぱらないとか、用心してください。
痛みがなくなってから元の状態まで回復するまでは、
もう少し時間がかかるものなのです。
安静期間中の3つの注意点
1、痛みの出ない起き方をする
強烈な痛みが速やかな回復するためには、痛みの出ない姿勢と動きが重要です。
横になっての安静時の姿勢は横向きがよいのですが、動きも横向きがカギになります。
ベッドから起き上がる時、横向きからそのまま足をベッドの端からおろし、
下になっている側のひじでベッドを押しながら起き上がってください。
もし仰向けになっていたら、膝を立て腰を捻らないように体全体で横を向き、
同様にして起き上がってください。
また、ベッドではなく布団で寝ている方は、横向きから四つん這いになり、
横に置いた椅子を支えにするなどして起き上がってください。
2、初めは腰を冷やし、痛みが落ち着いた後は温める
発症直後の強烈な痛みは冷やした方が良いです。
それは、多くの場合、患部が炎症を起こしているためです。
数日経って炎症がおさまれば痛みも落ち着きます。
そうしたら、今度は逆にお風呂であたためて血行を良くしてください。
インターネットのサイトでは、逆に「初めはあたためる」という所もあります。
治療院など専門家が症状をみてそういう処方をするなら構わないのですが、
一般の方が自分でセルフケアするのなら、冷やした方が無難です。
3、数日たって痛みが悪化するようなら病院で検査を!
普通のギックリ腰なら上記の対処で痛みがおさまり、改善します。
ですが、数日たっても逆に痛みが悪化するようであれば、
もっと深いダメージを受けている可能性があります。
その場合には、必ず一度病院で検査を受けてください!
猫背の原因と改善方法(根治療法)
では次に、根治療法で猫背もなおしていきましょう
猫背の原因
よくある猫背の原因は、デスクワークなどで長時間同じ姿勢でいることです。
そうして仕事に集中しているとだんだん体が前傾して猫背になってきますし、
足が動かないので血液の循環も悪くなるために疲労がたまり、むくみ、
それが腰の負担をさらに増してしまいます。
なお、人によっては首・肩のコリもでてきます。
猫背の改善方法は座り方を見直すことから
まず、座り方を見直しましょう。
写真のようにまっすぐ骨盤を立てて座ることで、
座っている時の骨盤のゆがみを正し、
姿勢をよくして腰の余分な負担を減らします!
ただ、そうはいっても長時間デスクワークに集中していると
だんだんと姿勢も崩れてしまいがちです。
例えば、「1時間ごとにトイレに立つ」と予め決めておいて
立ち上がって腰を伸ばし、軽い体操をするなどするとよいでしょう。
また、パソコンのモニターの高さを自分の目線に合わせると、猫背になりにくいです。
他にもキーボードを置いている位置など、仕事環境が体を猫背にしていないか、一度見直してみてください。
痛みがおちついたら腰痛体操で筋力もつけましょう!
痛みが落ち着いたら腰痛体操で腹筋と背筋を鍛えておくのも再発防止に効果的です。
1、うつ伏せから腰をそらす腰痛体操
うつ伏せから、手をついて腰を10秒そらせてください。
初めは1日1回、痛みが出ない範囲で行い、慣れてきたら回数を増やしていくと良いです。
この体操には、猫背で丸くなった背中を逆方向にそらすことと、
固まった腰の筋肉や骨格に動きを出す効果があります。
2、上向きで膝を抱え込む腰痛体操
先ほどとは逆に上向きで、膝を抱えて体を丸くします。
お腹の筋肉に軽く力を入れ、腰を伸ばす意識で10秒キープしてください。
これも1日1回、痛みがでないように行い、慣れてきたら回数を増やしてください。
この体操は、最初の体操で動きのでた腰の筋肉と骨格をしっかりと伸ばし、
骨盤を立てたよい姿勢をとれるようにする効果があります。
まとめ
ギックリ腰にはまず対症療法
ギックリ腰が起こってしまったら、対症療法です。
痛みの変化に合わせて、
安静⇒体を動かすという、
2段階の対処をし、
1、痛みの出ない姿勢・動きをする
2、初期は冷やし、後期は温める
3、もし痛みが悪化するなら病院で検査を受ける
という3つの注意点をまもってください。
また、痛みがなくなっても油断せず、
重いものを持つ時はしっかりしゃがんで、
体や足の力で持ち上げてくださいね!
根治療法で猫背をなおして再発防止
猫背は腰に余分な負担がかかるため、ギックリ腰が繰り返し再発します。
普段から骨盤を立てる座り方で猫背を改善し、
合わせて腰痛体操もして筋力をつけていきましょう。
もしもそれでもギックリ腰が再発するなら、
自分では気がついてない問題点が何かある筈です。
その場合は、ぜひお近くの治療院へご相談ください!